


「遺伝子」をキーワードに、健康と栄養を考えるシンポジウム「傷ついた遺伝子があなたの寿命を縮める!〜核酸栄養で健康・長寿遺伝子の発現を〜」(産経新聞社主催、昭和大学医学部第一解剖学塩田研究室主幹、フォーデイズ特別協賛)が11月23日、東京都千代田区で開かれた。病気や老化と遺伝子との関係を最新の研究が発表され、いま熱い視線を集めている「核酸栄養」が健康を保つ遺伝子の働きを高めることが紹介された。

〈うすみ・こうじ〉1954年、東京都生まれ。東京大医学部卒。医学博士。NPO法人KYG協会理事長、財団法人ライフエクステンション研究所理事などを務める。専門は核酸の栄養学、予防医学全般など。
病気を予防するにはどうすればいいのか? 発症には遺伝要因と環境要因があるが、最近、「恒常性維持機能」も重要と考えられるようになってきた。病気を防ぐ機能もそこに含まれ、それらの力関係によって病気になるか、老化するかなどが決まることが分かってきた。
だから、恒常性維持機能をいかに高めていくかが重要であり、それを「予防医学」として研究している。そこでは遺伝子の働きが注目されている。例えば、運動などで血圧を上げなくてはならないときに血圧を上げる遺伝子がぱっと動き出す。この状態が落ち着き血圧を普通に戻すときになると、この遺伝子は働きを抑えるが、働き続けてしまうと血圧は上がったままになる。ウイルスが侵入してくると、免疫を高める遺伝子が働き出しウイルスに対抗する。これが収まるとウイルスを抑える免疫も収まる。
現代人は恒常性維持機能が乱れ、病気が起きる要因になっているのではないか。そんな中、食べ物が非常に重要だということが分かり、医学部で「栄養」が注目され出した。食べ物には、体をつくる、おいしいという満足感のほか、恒常性維持機能を高める働きがあるということだ。
それを促進するには遺伝子そのものにあるDNA、RNAなどの核酸栄養を摂取するのも一つの方法だ。

〈まつなが・まさじ〉1944年、北海道生まれ。北海道大、京都大卒。京都大工学博士、昭和大医学博士。サケ白子DNAなど食品素材としての核酸の研究・普及に努める。水産庁「核酸プロタミン研究推進委員会」元委員。
私は北海道生まれで、幼いころ、大量に取れるニシンが食卓に上った。おなかを開けると、オスかメスかによってカズノコや白子が入っていた。白子は、母の方針で無理やり食べさせられた。「そういえばあのとき元気になったな」という記憶がきっかけでこのテーマを研究してきた。
白子にはDNAが豊富だ。それと同様に、母乳には核酸がたくさん含まれている。30年前、私が核酸の研究を開始し、その後、乳業会社も研究した。牛乳を原料とする粉ミルクを飲む赤ちゃんと母乳の赤ちゃんとではいろいろな違いが出てくることが分かった。今では、各社とも粉ミルクに核酸の成分を入れるようになっている。
母乳には核酸と一緒にくっついているポリアミンという物質も含まれている。皆さんの大切な遺伝子のDNAを傷つける活性酸素をつかまえて体外に排出するグルタチオンも入っている。
核酸は肝臓で作られているので従来は(摂取が)必要ないとされていたが、実際は加齢に伴い肝臓の機能も衰えるので減ってくる。母乳は成長に必要というだけではなく、自分を守るような栄養素も持っている。そのような成分を期待するのなら、「それじゃあ、食べたらいいんだ」というのが私の発想の原点となっている。