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進行肝臓がん 免疫治療薬の適用拡大へ前進 アジア人への臨床試験で約17%に縮小効果

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進行肝臓がんに対する免疫治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の日本人を含むアジア人への臨床試験(治験)で、約17%の人にがんの縮小効果がみられたことなど治験の詳細が7月28日に神戸市で開かれた日本臨床腫瘍学会学術集会で明らかになった。治療薬の選択肢が少ない進行肝臓がんへの適用拡大に一歩前進した。

世界規模で治験

進行肝臓がんの治験について発表する工藤正俊教授=7月28日、日本臨床腫瘍学会学術集会1-1

発表したのは日本での同治験の責任者を務めた近畿大学医学部の工藤正俊教授(消化器内科学)。進行肝臓がんは末期の手前の症状。今回の治験では、標準治療の一環で分子標的薬の治療を行った進行肝臓がんの患者が対象となった。世界規模で平成24年から28年にかけて薬剤の安全と効果を調べる第1・2相の治験を実施。日本をはじめ、米国、英国、ドイツ、スペイン、韓国、台湾など12カ国から262人が参加した。

この中でアジア人は70人が参加、うち日本人は26人。アジア人のデータに関して、17・1%の患者のがんが縮小。52・9%にがん抑制効果がみられたことが判明した。工藤教授によると、オプジーボがすでに保険適用されている非小細胞肺がんなどとほぼ同程度の効果が得られ、薬剤の安全性についても、他のがんと同様の水準が保てた。

3カ月以上持続

同治験で注目されたのは効果の期間だ。治験では効果が3カ月以上の長期間続いていることも同時に分かった。これは、ほかのがんでも現れたオプジーボの共通の特徴だ。すべてのがん患者に効果は見られないが、特定のケースでは生存期間の長期延長の効果が出ているという。

進行肝臓がんなどを経て国内で肝臓がんで亡くなる人は年間、約3万人。進行肝臓がんは現状では、薬物治療をしても薬剤耐性が起きるなど治療の継続が難しい面があった。工藤教授は「治験の結果は、新薬を待つ患者さんに朗報となるだろう」としている。

オプジーボの進行肝臓がんへの適用をめぐっては、米国の食品医薬品局(FDA)は治験の成績を評価し承認に向けて迅速審査に入ったことを公表、最終段階の第3相の治験を飛ばして今秋にも承認される見込みだ。同治験を行った欧州でも同様に早期承認される見通し。工藤教授によると、日本では第3相の治験が実施される。保険適用への承認はその結果を受けて決定される。

オプジーボは免疫チェックポイント阻害剤の一つ。同種の薬剤にはキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)などもある。日本では悪性黒色腫(メラノーマ)が平成26年に最初に保険適用。続いて非小細胞肺がん、腎細胞がんなどへの適用が承認されている。

【用語解説】免疫チェックポイント阻害剤

免疫細胞はがん細胞を攻撃する性質を持っているが、タンパク質のPD−L1とPD−1が結合すると、免疫細胞にブレーキがかかる。免疫チェックポイント阻害剤が投与されると、ブレーキが解除され、がん細胞を攻撃できるようになる。自己の免疫を使うため抗がん剤などに比べ、副作用が少ないとされる。

「がん、再発・転移とどう向き合うか?−改めて問う死生観」

来月9日 フォーラム開催

特定非営利活動法人(NPO法人)「がんサポートコミュニティー」では、「がん、再発・転移とどう向き合うか?−改めて問う死生観」と題したフォーラムをよみうり大手町ホール(東京都千代田区)で9月9日に開催する。

転移・再発したがんや進行したがんでも根治できることもあるが、それはなかなか期待しても難しい。しかし、「がんが治らない」ことは、「治療法がない」ことではない。再発・転移したがんでは、がんによる症状を和らげること、がんの進行を抑えることが治療の目標になる。患者にとって「がんがなくならない」あるいは「もう治らない」という現実を受け入れることは、とてもつらいことで、がんと診断されたとき以上に精神的な衝撃を受けることだろう。

そこで今回は、腫瘍内科医であり、緩和ケア医である向山雄人氏(東京がんサポーティブケアクリニック院長)を招き、「がん、再発・転移にどう向き合うか?」をテーマに講演を実施する。

一方、がんを体験した医師、長山忠雄氏(千葉県がんセンター名誉センター長)は「改めて問う死生観」をテーマに講演する。再発・転移したがんと向き合いつつ、自らの死生観を問い、より良く生きるヒントをともに学ぶ機会にと、企画した。

期日: 9月9日午後1時半〜4時半(開場午後1時)
会場: よみうり大手町ホール(東京都千代田区)
申し込み方法: 氏名(ふりがな)、連絡先(住所・電話・FAX・E−mail)を明記の上、下記のTEL・FAX・E−mailのいずれかで、申し込み。なお、E−mailで申し込みの際は「件名」に「フォーラム申込」と必ず明記。
TEL: 03-6809-1825
FAX: 03-6809-1826
E−mail: info@csc-japan.org

日本医師会 赤ひげ大賞

日本医師会赤ひげ大賞第5回受賞者 明石恒浩医師

祈りと慈しみで患者の不安取り除く

キリスト教徒の明石恒浩院長は診療時に薬を処方するほか、祈りをささげることもある。「病は気から。違う宗教の人でもお祈りは心を和らげる。(母国語の違う患者と医師の)よい関係性も築ける」

患者を診察する明石恒浩院長(左)=横浜市のザ・ブラフ・メディカル&デンタル・クリニック

あかし・つねひろ

横浜市中区のザ・ブラフ・メディカル&デンタル・クリニック院長。昭和28年、東京都生まれ。63歳。比イースト大医学部卒。茅ケ崎徳洲会病院内科勤務を経て、62年にザ・ブラフ・メディカルクリニック(現在のザ・ブラフ・メディカル&デンタル・クリニック)院長に就任。英語やタガログ語など多言語での会話力による安心感で、外国人を中心に幅広い患者から、絶大な信頼を得ている。

明石院長は貿易商だった父の影響で横浜にあった英語教育主体の学校で学び、英語で医学教育が受けられる比イースト大医学部を卒業した。30歳を過ぎ、キリスト教徒が国民の多数を占めるフィリピン出身の妻が通う教会に一緒に行くようになり、キリスト教に入信。洗礼も受け、毎日の祈りは欠かさずに行う。毎週日曜日は教会に通い、礼拝時に英語で行われる外国人牧師の説教を日本人に向け全訳している。

横浜市の外国人居留地で1863年に設立された診療所というルーツをもつザ・ブラフ・メディカル&デンタル・クリニックに明石院長が就任した昭和62年ごろ、来院するのは外国人の患者ばかりだった。丁寧に診療する明石院長の評判は広まり、近隣の日本人も訪れ始める。現在、患者は外国人と日本人でほぼ半々になった。

近くに横浜市立みなと赤十字病院など24時間対応可能で多数の診療科を持つ総合病院もでき、外国人患者が病院間をたらい回しされることもなくなったが、英語・タガログ語などを話す明石院長のいるクリニックは訪日外国人や近隣に住む外国人にとって今も昔も駆け込み寺的な意味合いを持っている。相手にまっすぐ向き合って話を聞き「心を和らげる」診療を心掛ける明石院長への信頼は厚く、口コミなどによって新規の外国人患者が来ない日はない。さらに毎日、少なくとも7、8通、多いと15通以上、全国の外国人から寄せられるメールによる相談に答えていると眠りにつく時間が午前2時を過ぎるという。

クリニックを任せられる後継者ができた場合、明石院長は英語が生かせるような地域で「神様に導かれるまま、必要とされる場所で人々に奉仕したい」と話した。

「赤ひげ大賞」

主催:日本医師会、産経新聞社
特別協賛:太陽生命保険
ホームページ http://www.akahige-taishou.jp/

かかりつけ医へのメッセージ募集

「日本医師会 赤ひげ大賞」(主催:日本医師会、産経新聞社 特別協賛:太陽生命保険)事務局では皆さまの「かかりつけ医」への応援メッセージを募集します。

かかりつけの先生への応援メッセージをお書きいただき(300字以内)、あなたの住所(郵便番号)、お名前、年齢、電話番号、ペンネーム(ご希望の方)、募集をお知りになった媒体(産経新聞)をご記入の上、下記応募先までお送りください。メッセージが「赤ひげ大賞」公式ホームページに掲出された方にはクオカード500円分をお送りします。

◆メッセージ応募先
郵送: 〒100−8079 東京都千代田区大手町1の7の2「赤ひげ大賞あなたのかかりつけ医」メッセージ募集係
FAX: 03-3275-8932
締め切り: 平成29年12月27日
ウェブサイトからの応募も可能です。
ホームページ http://www.akahige-taishou.jp/
第10回 これからの健康と栄養を考えるシンポジウム 自分の体はジブンで守る