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あなたの「体力年齢」は? カーブスが「測定プログラム」 弱点を“見える化”効果的な運動で生活習慣病予防

からだのレシピ

自分の「体力年齢」がいくつかご存じだろうか。筋力・バランス力・柔軟性に焦点を当て、体力年齢を測る「からだ年齢測定プログラム」が注目されている。運動習慣のある人は体力年齢が若く、生活習慣病にもかかりにくいことが研究で分かっている。体力年齢を知って、体力面や筋力の弱点を分析することで、効果的な運動につながると期待されている。(宮田奈津子)

運動不足は介護リスクも

宮地元彦健康増進研究部長

「からだ年齢測定プログラム」は、国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)の宮地元彦健康増進研究部長が監修し、女性専用の健康体操教室を全国展開するカーブスジャパン(港区)が開発した。

カーブスは、筋力トレーニングと有酸素運動を繰り返すサーキットトレーニングが特徴だ。筋力を鍛えるマシンが並び、マシンの間に置かれた足踏みボードで有酸素運動を行う。30秒ごとに移動し、ストレッチも含めて30分で終了する。短時間で運動できることから、幅広い年齢層の女性に支持されている。

インストラクターの指導の下、「からだ年齢測定プログラム」で柔軟性を測る女性=東京都品川区のカーブス戸越

この年齢層の幅広さは体力差を意味し、それぞれの体力年齢を割り出すことが必要で、同プログラムの開発につながった。厚生労働省の調査(平成27年)では、1日30分以上週2日の運動を1年以上継続している運動習慣者では女性は27.3%と、男性に比べ10.5ポイントも低い。女性は家事や育児などに追われて運動時間がとりづらい。同プログラムは各自の体力の現状を把握し、無理のない運動対策を立てることが主眼だ。

測定の所要時間約5分で、内容も「上体起こし」「片足スクワット」「長座体前屈」の3項目をチェックするだけ。結果を体力年齢という形で“見える化”していく。

宮地部長は「筋力の衰えは膝や腰の痛みだけでなく、内臓脂肪蓄積の原因にもなる。バランスが悪いと転倒による介護リスクにつながるし、硬い体は高血圧を引き起こす」と訴える。

1年で「19歳」も若返り

「あ、立ち上がれない」

商店街の一角にあるカーブス戸越(品川区)に通う主婦の藤田富二美さん(62)は昨年2月、体力年齢の測定を行ったとき、驚いた。片足スクワットの回数は0回だった。体力年齢は63歳。「筋力の衰えの実感はあったのですが・・・」。その後、週に3、4回ほどカーブスへに通い、ほぼ1年後の今は10回以上できるようになった。それを裏付けるように筋肉量は1.4%増加、体力年齢は44歳と19歳も若返った。

カーブスが同プログラムの結果を調査したところ、運動習慣のある女性は、習慣のない女性に比べ、体力年齢が約4歳若いことが判明。カーブスの中でも1年以上継続している女性は、1年未満の人よりも体力年齢が約3歳若かった。

同教室に1年通っている主婦の宮下節子さん(76)の最新の体力年齢は49歳。実年齢より27歳も若い。「からだ年齢の測定で鍛えるコツが分かる。運動を続ける励みにもなる」と楽しく運動を継続している。

宮地部長は「“体力年齢は何歳”とメッセージが分かりやすい。定期的に体力を測定することは健康診断のように大切」と話している。

痛風、ぜいたく病から“国民病”に

かつては「ぜいたく病」といわれた痛風も、患者数は今や70万人に増え、国民病となっている。この原因となる尿酸、プリン体について専門家は「食事管理や最新の知見を生かすことでプリン体対策をして、痛風の予防・改善を目指してほしい」と話している。

現代の生活習慣がリスク

松本美富士医師

痛風はなぜ起こるのか。三重県桑名市総合医療センター・リウマチ膠原(こうげん)病内科顧問を務める松本美富士医師によると、痛風は尿酸という物質が体内に蓄積し、その結晶が脚部の各関節に猛烈な痛みをもたらす病気。血中の尿酸値が高い状態「高尿酸血症」が数年以上続くことで痛風発作が出るという。また高尿酸血症が続くと心筋梗塞など心血管系疾患の危険因子となるため、「単に足が痛くなる病気」という認識は改めなければならないそうだ。

痛風の原因となる尿酸は体内の新陳代謝で産生されるものだが、食品に含まれるプリン体からも作られる。最近の日本人の食生活は欧米型の高脂肪・高たんぱくとなっており、プリン体産生が増え尿酸値が上昇しがちだ。過度なアルコール摂取や運動不足も要因となっており、現代の日本人の生活習慣が痛風の大きなリスクとなっていることを認識しなければならない。

継続的な治療が必要

松本医師によると、痛風発作を起こした場合、まずは大人でも歩けないほどの激痛を解消するために、抗炎症薬使用などの対応をとるのが通常という。しかし発作が治まったからといっても治ったわけではないので、高尿酸血症に対する生活習慣改善と薬物治療を継続せねばならないそうだ。そして痛風は治療を中断すると数週間で元の無治療状態に戻ってしまうため、生涯治療を続けねばならないという。

痛風発作を予防するには、日々の高尿酸血症対策、プリン体制限が必要になるが、そもそもプリン体はあらゆる食べものに含まれていると松本医師は指摘する。ただその中でも、タラコやウニのように細かな細胞がたくさん詰まった食品、カリフラワーなどのぶつぶつの多い野菜などにプリン体が多く含まれることが分かってきたという。また酒類ではビールが多量のプリン体を含むが、そもそもアルコール自体が大量に尿酸を増やす作用があるとのことで、注意が必要だ。

日本食と適度な運動を

高尿酸血症、痛風発作予防のため、松本医師は伝統的な日本食のような、動物性脂肪や過度なタンパク質を控えたバランスの良い食事を推奨する。またアルコールは日本酒に換算して1合くらいが適量、尿酸値上昇の原因となる内臓脂肪の蓄積を防ぐための適度な運動が必要とも語る。

こうした自己管理に加え、最近の研究でプリン体から尿酸を産生する酵素の働きを阻害し、尿酸排泄(はいせつ)を助ける作用が認められた菊花ポリフェノールなどを併用するのも有効という。松本医師は「菊の花は伝統的に食用やお茶にも用いられた、一種の薬膳。身近にある菊の花から取れる尿酸値上昇を抑制する成分を活用しながら、生活習慣の管理を続けてほしい」と話した。

「健康マスター」地域や職場での活躍期待

日本健康生活推進協会・大谷泰夫理事長に聞く

1回目の日本健康マスター検定試験(以下健検)が2月26日に行われ、一般の人を対象としたベーシックコースが1554人、上級者向けのエキスパートコースが2551人、合計4105人が受験しました。その中には損害保険会社、医薬品関連会社など、団体として社員が受験した企業もあります。合格者は「健康マスター」と認定され、名刺や履歴書などに記載することができます。今後その方たちが肩書を生かして地域や職場で活躍してくれること、それによってこの検定の知名度がさらに向上することを期待します。

検定の目的と意義

長寿社会を実現したわが国では、健康寿命をいかに延ばすかが課題となっており、そのためには、まず国民一人一人が健康についての正しい知識を持つことが大切です。そこで、自分や家族の健康を守ろうという方々のためにベーシックコースを設けました。

また、地域や職場の健康推進を担う方々のために、エキスパートコースを設けました。健康関連ビジネスを展開している企業の社員も対象となります。社員の健康維持は会社の業績向上にもつながり、健康に関連する商品やサービスを扱う社員が正しい知識を持つことは消費者への信頼確保につながります。この考え方に賛同してくれた企業が、団体受験してくれました。

いずれのコースも、健康リテラシーの向上が目的です。医学的な裏付けを担保するため、日本医師会に監修してもらい、試験問題やテキストの作成にも全面的なサポートをいただいています。また、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本栄養士会などの後援も得ています。

重要になる未病対策

健康について考えるとき、かつては人間を健康と病気のふたつに分けていました。そして、病気になれば医療のお世話になるものとされていました。しかし、人間は40歳を過ぎたころから、誰しも体に何らかの不調が表れるものです。健康診断で中性脂肪や血糖値が高いと指摘されても、バリバリ働いている人がいます。この人たちは病気といえるでしょうか。このように何らかの不調はあるものの病気とまでは言えないような状態を“未病”と言います。未病には、一度病気を患った後に回復した人も含まれます。たとえば、がんや脳梗塞などの大病をした後でも、回復して普通に暮らしている人たちが大勢います。

高齢社会の進行とともに、このような健康と病気の中間にある未病の人が増えています。老化に伴うさまざまな病気は、ほとんどが完治しないものです。しかし、健康に関する正しい知識を持ち、日常の健康データ管理に努め、食生活の改善や運動などによって、健康状態の維持促進を図ることが大切です。

「健検」は、検定試験という形で国民全体の知識の底上げをし、健康寿命を延ばそうという取り組みです。第2回試験は6月11日、第3回試験は10月1日に実施する予定です。

東京都の医療機関案内サービス、利用度アップへ多言語化計画

東京都の医療機関案内サービス「ひまわり」

河原和夫教授

東京都は医療機関案内サービス「ひまわり」の利用度を向上させようと躍起になっている。平成29年度以降に多言語でのホームページ(HP)を開設するなど、新たな施策を打ち出す予定だ。都の施策は他の自治体への影響も大きいだけに、専門家も注目している。

119番の緊急通報とは別に、ひまわりでは電話とインターネットで、夜間や休日に受診可能な医療機関などを紹介している。7日に公表された都の世論調査(28年実施)ではひまわりを知っている人は16%で、前回(23年)よりも3ポイント減少。その半面、利用度は12%と前回よりも5ポイント増加した。

実際、ひまわりの利用状況はどうか。都内在住の男性会社員は1月、けがをして出血、化膿が心配だったため、皮膚科をスマートフォンで検索。だが、夜間で診療を終えた施設ばかりだった。ひまわりのサービスを思い出し、夜間でも開いている周辺の皮膚科を複数紹介され、事なきを得たという。一方、「都民の声」のHPには追突事故に遭った後、ひまわりに問い合わせたが、休診の医療施設を紹介されたなどの最近の事案が掲載。都では対応の改善について見解を示している。

医療政策に詳しい東京医科歯科大大学院の河原和夫教授は「都の医療施策は全国の自治体にとっても参考モデルになり得る」と指摘。その上で「ひまわりが十分に活用されれば、医療機関の適正受診につながる」と話す。

都の新たな計画は、「英語、中国語、韓国語のHPを制作する。スマホからのアクセスを新設する」(福祉保健局)というものだ。東京五輪を控え、国際化に対応する形だ。

ひまわりへの連絡方法などが記された都の医療冊子

一般の利用や認知度の向上のためには、「街のクリニックの待合室にひまわりの案内情報を流すなどの工夫も必要」(河原教授)との助言もある。こうした取り組みが奏功すれば、無駄な救急搬送を減らすことが可能となろう。

ただ、都では命にかかわる緊急時には迷わず119番にダイヤルし、救急車を呼ぶかどうか迷ったら、(電)♯7119への電話を呼びかけている。

それ以外で緊急性が低い場合には、ひまわりへの連絡を推奨。(電)03-5272-0303、インターネットは「東京都ひまわり」で検索。

第10回 これからの健康と栄養を考えるシンポジウム 自分の体はジブンで守る