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重点配分で日本の医薬分野再生を 製薬協が政策セミナー

開催あいさつをする製薬協の伍藤理事長

開催あいさつをする製薬協の伍藤理事長

発表する製薬協の手代木会長

発表する製薬協の手代木会長

日本製薬工業協会(製薬協)の政策セミナーが5日、東京都内で開催され、政府の「医療イノベーション5カ年戦略」策定を受け、革新的な創薬に結びつけるにはどのような課題があるかについて講演やパネルディスカッションが行われた。

セミナーのテーマは「革新的医薬品の創出に向けて〜医療イノベーション5カ年戦略をうけて〜」。まず、製薬協の伍藤忠春理事長は「厳しい経済情勢の中、日本を牽引する成長産業として医薬分野を位置づけるべきであり、そのために何が足りないかをきちんと議論する必要がある」とあいさつ。

手代木功会長(塩野義製薬社長)が講演し「ライフサイエンス分野の科学技術予算が米国の約8分の1という少額の中、重点投下しなければならないのに、そのようになっていない」と問題を提起。大学や理化学研究所(文部科学省所管)、産業技術総合研究所(経済産業省所管)、医薬基盤研究所(厚生労働省所管)などで同様の研究が重複するケースがあるにもかかわらず、予算が各研究機関に均等に配分されてしまっている例などを紹介した。

医療政策の司令塔となる組織が複数存在し、役割分担が不明確となっていることで強力な政策実行の妨げになっているとし、内閣官房の医療イノベーション推進室に一本化することを求めた。

手代木会長はそのうえで、政府の医療イノベーション5カ年戦略については、日本で弱いとされている大学での基礎研究と企業の実用化研究との間をつなぐ橋渡しの役割を持つ「創薬支援ネットワーク」の充実▽病院の規模が小さいため、臨床試験(治験)の際、多くの病院と契約しなければならない問題を解消する「臨床研究中核病院」の整備――の2点を重視するよう国に要望していく考えを示した。

このほか、内閣官房医療イノベーション推進室の松本洋一郎室長は「日本のものづくり力が医療機器の開発・製造に結びついていない」と機器の分野でも橋渡しの必要性があることを強調。東京大学創薬オープンイノベーションセンターの長野哲雄センター長は製薬企業と同センター(大型化合物ライブラリー)との連携の必要性、厚労省の三浦公嗣技術総括審議官は官も含めた人材育成のシステム化の重要性について述べた。

セミナーでは江戸川大学の中村雅美教授を司会に、手代木会長ら4氏がパネルディスカッションを行い、会場を埋めた約400人の参加者は熱心に聞き入っていた。

5カ年戦略への評価を発表する手代木会長

医療イノベーション推進室の松本室長

厚労省の三浦審議官


東大の長野センター長

手代木会長ら4氏によるパネルディスカッション

産官学のほか、議員も訪れ、政策提言に耳を傾けていた


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